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【学生取材】大学で主体性教育の研究をする私が、エデュリーの保育園を見学して感じたこと

 エデュリー代表 菊地の母校である慶應義塾大学の研究室を経由し、在学生の方から「保育園の主体性教育について聞きたい」とお問い合わせをいただきました。「主体的な学習によって、学習意欲/学習効果の向上が実現するのか」というテーマで研究を行っているという政木さん。せっかくの機会なので、「エデュリーについて素直に感じたことを書いてくれませんか?」とお願いしたところ、記事の作成に快諾していただきました。本記事はオンラインインタビューとマロカル保育園の見学でお話した内容となります。

 

大学で主体性教育の研究をする私が、エデュリーの保育園を見聞して感じたこと

慶應義塾大学環境情報学部 政木英永

 エデュリーが運営する11つの保育園。園全体で掲げる理念は「より多くの子どもたちに主体性を育む機会を提供し、子どもたちの無限の可能性が開花する社会を作る」。そのために、乳幼児期に必要な主体性の基盤作りに取り組んでいる。11つある個性豊かな園は、それぞれが「世界に一つだけの保育園」として、地域文化に根ざしたコンセプトや内装設計を行い、地域との繋がりを生み出していた。理想社会、理想人材の実現のために、保育園の環境や人々がどのような影響を与えているのかを探るために、オンラインでのインタビューと保育園へ訪問をした。

 まずはオンラインでのインタビューだ。「主体的な学習によって、学習意欲/学習効果の向上が実現するのか」というテーマで研究している私は、「主体性」をキーワードにインタビューを進めた。「主体性を育む保育」を追求し続ける株式会社エデュリーを設立するきっかけとなったのは、代表である菊地様ご自身の経験である。菊地様との対話の中で、印象的だったのが「保育の積み上げの重要性」を繰り返しおっしゃっていたことだ。

『保育は段階的なものであり、ピラミッドを想像すると一番下から「初期の愛着形成、感覚や発達、興味関心、実行力、そしてクリエイティビティ」といったような要素が複数ある。この「段階」を丁寧に踏んでいくことは主体性を築く上で非常に重要である』。また、『保育者が環境づくりにどこまで頭を使うかと、子どもたちを引き出す存在や場づくりは、主体性の実現に深く関わっている』

 

process

経験値の少ない子ども達が見えるものは決して大きくない。経験値のある保育者が常に頭を使い、子どもたちの興味関心を広げたり計画したりする必要がある。それらの工夫は園によって異なる。私が訪問した埼玉県のマロカル保育園では、部屋の構成や日々の遊びを含む活動などは、生徒一人一人の発達や興味関心に応じて設計されていた。全体を見渡せるような開放的な空間、子どもたちが目の触れるところにたくさんの道具を置いておく点など、細部まで園長や子どもたちの個性で溢れていた。乳幼児期の経験や要因、環境によって大きく変わる子どもたちに、幅広い選択肢を与えることの重要性も、実際に園児たちの様子を見て再認識した。保育園で何をやるかではなく、やっていくプロセスが極めて重要であり、それらが好奇心のベースとなって子どもたちの行動や態度に現れるそうだ。

 乳幼児の保育についてのみならず、人材育成について幅広くお話ししてくださった。必要なスキルや能力は時代によって違うことを踏まえると、人間が将来になった時にあるとベストなのは「好奇心、主体性、自分自身を時代に応じて変えていける柔軟性、欲求など」であると話していた。国際化や情報化が進み、複雑な社会を生き抜く人材が求められる時代において、必要な資質やスキルは可変的だ。

日本の教育制度が生徒に与える影響

エデュリー設立に至るまでの経緯、そして幼稚園とは違う、保育園という環境の強み、理想の保育園づくりにおいて重要視していること、その上で今後エデュリーが向かう先など多岐にわたるお話をしていただいた。また12月末には、マロカル保育園に訪問する機会もいただき、園内見学や園長先生との対談など、実際に肌で感じたことも多く、貴重な経験をさせていただいた。大変お忙しい中、インタビューと訪問の時間を設けてくださったこと、心より感謝いたします。
 私自身、自分の過去の経験が現在の探究活動に大きな影響を与えている。高校でのアメリカへの交換留学、海外インターンシップ事業の運営を行う学生団体での活動、塾講師や教育機関でのインターンシップなど、国内外での様々な経験の中で、日本の教育制度、そしてそれが生徒に与える影響を考える機会が多かった。最大のきっかけとなったのは、高校2年生からAFS留学生として渡航した、アメリカでの1年間だ。大学の研究では、日本での教育社会の現状分析を進めたり、学生側と教育機関側の双方の視点からインタビューを実施したりするなど、教育の現状理解を深めてきた。本研究を通して、「教育や学び」のみならず「人材育成」そして「社会全体」をとらえ直すことは、自分の興味や関心の幅を広げ、国際社会で活躍する人材の輩出を目指すことにも繋がった。「主体性」は学習や教育の分野のみならず、複雑化・多様化・国際化社会で活躍する人材育成におけるキーワードでもあると考える。

 豊富な経験などをもとに計算されていながらも園児たちに多くの選択肢を残しながら教育の場づくりを進めるエデュリー。そこで育成される子どもたちが、社会をどのように生き抜いていくのか、今後も目が離せない。