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【対談レポート・前編】 プロサッカー選手遠藤航(日本代表)の「主体性を育む」子育て論 遠藤航氏×エデュリー代表 菊地 「挑戦力~子どもたちの未来~」

2021年6月15日、未来のツリー保育園にてプロサッカー選手遠藤航氏をお迎えし、当社代表菊地と対談「挑戦力~子どもたちの未来~」を開催いたしました。東京五輪の代表選手としてもご活躍が期待される中、4児の父として挑戦を続けられる背景や父としての子育てにおける心得などお伺いしました。

◆子どもの可能性は無限大、海外で4人の子を育てて思うこと
菊地)今日はよろしくお願いします。「挑戦力」と題して、挑戦を続けるために大事にしていることや子育ての話なども伺っていきます。

遠藤さん)よろしくお願いします。

菊地)うちに出資してもらい、子育てに対しても、うちの園に対しても、すごく共感してくれている中で、自分たち「保育を科学する」っていう一線でやっていることに理解もしてくれていて心強いです。
ドイツで活躍しながら子育てをしていて、将来の子どものためや今後の子育てで何か考えてることってあるんですか。
遠藤さん)僕は海外で4人育てているので、日本とドイツの子育ての違いは何なのかなとは考えている中で、なんでもチャレンジできるようにするのって結局大事だなと思っています。色んなことを考えながら、育児とは向き合ってきましたけど、子どもの可能性ってほんと無限大だなって思いながら日々生活していますね。

菊地)エデュリーでも外国人の先生が常駐している園を作ったりしていて、子どもの主体性を大切にしている僕らは、英語を教えるじゃなくて、英語が生活の中にあるという環境を取り入れてるんです。家族や友達と日常で使っている日本語以外の環境。ボディランゲージを駆使して、どうやったらコミュニケーションを取ることができるのか自分の頭で考える。そうすることで多様性の許容力をつけていきたいと思っています。今実際、航くんの子どもたちがインターナショナルスクールに通っていて、まさにその環境にいるかと思うのですが、なにか発見とかありますか?

遠藤さん)母国語と英語を喋れて、さらにドイツ語も勉強して喋れるようになるみたいな、小さい頃からそれだけの経験ができるっていうのは本当に大きいことだと思う。僕らはまだ日本語しか学んできていなくて、途中から英語を始めてという環境だったから、僕は海外に3年いますけど、やっと日常生活でコミュニケーションできるレベルになってきたくらい。
小さい頃からコミュニケーションのツールの一環として日本語だけじゃなくて英語に触れるというのはやっぱり大きいし、何かを学ぶ上でもプラスになると思う。普通に過ごしていたら日本語の情報量と英語の情報量って全く違うじゃないですか。そういうことを考えても母国語だけじゃなくって最低限英語とか、他の言語をやっていくっていうのはすごく大事だと思っていますね。

菊地)ドイツ語は勉強してから行ったのですか

遠藤)一年ぐらい勉強をやっていましたけど‥リスニングなら何となく言っていることがわかるくらいのレベル。でもそれだけでも個人的には良かったと思っています。監督が言っていることがなんとなくわかったので。子どもたちも日本にいた頃からインターナショナルスクールに通っていたのですが、自分と同じでした。先生の言っていることはわかるけど、自分ではまだ言葉がちょっと出てこないみたいな状態でしたね。今はもう結構上の子は喋れています。

菊地)そうなんですね!
言語力の向上ってプレーの向上、チームプレーの向上と何か相関してる事ってあるんですか。
遠藤さん)関係はしていると思いますよ、間違いなく。ただ結局、サッカー選手は海外に行っていくら言葉が喋れても、プレーで結果を残さないと認められないみたいなところがあるし、逆に言葉を喋れなくても、プレーで示して結果を残せば認められるところもあります。
話せて結果を残せるのが一番ベストで、僕も最初はそこまで喋れなかったけど、プレーで見せて、少しずつ語学も上達してきて、今はチームの一員として認められている実感がすごくあるから。関係性は間違いなくあるし、出来ていいに越した事はないと思います。

菊地)久保建英選手とかはもう小さい頃からスペインで、スペイン語がほぼ話せる感じじゃないですか。スペイン語と日本語、両言語で育ってきた選手、今までいなかったですよね?
プレーはもちろんのこと、チームの中でのコミュニケーション力の向上としてもすごいことですよね。

遠藤さん)久保選手はしっかりしていますね。自立しているというか、言いたいことをシンプルにぶつけてくるし、若いとか関係なしに、それが向こうでは普通だから。ある意味、久保選手は感覚が外国人的というイメージはあります。それは悪いことだと思わないし、むしろいい事で、意見をしっかり持って発信できるって事はすごい事だと思う。
そういう意味でも他の言語を通じて学ぶ事は大事だし、母国以外の国で生活するメリットもあると思います。

◆遠藤選手の負けず嫌いだった幼少時代、主体性は幼少期の環境から身に付いたもの
菊地)今回「挑戦力」というテーマを掲げたんですけど、航くんの今は、幼少期があって、活躍するまでには色んなベースになったものがあると思うんですけど、今の形をつくった幼少期の体験ってありますか。
エデュリーは主体性を育てるをモットーにしているので、子どもたちのそれぞれ活躍してく時にどういうアシストをしていくのかいいかのヒントになればと思います。

遠藤さん)幼少期を振り返るとどうなんだろう。すごく負けず嫌いでしたね。サッカーをやっていても、絶対チームの一番になりたかったし、試合でも負けたくないっていうのはすごくあった。あとは見たものをそのままどんどん真似していたかな。サッカーだったら、プロの試合を見てボール持ったらこういうプレーをしているのか、とか、こういうシュートを打っているんだ、というのを自分で考えて、それを再現しようとしていました。真似してチャレンジしてという能力は多分小さい頃に培ったかなと思っています。

菊地)航くんは兄弟っているんでしたっけ?

遠藤さん)下に弟と妹がいます。

菊地)お兄ちゃんとして、歳近いのですか?

遠藤さん)弟は3つ下。妹は離れていて、11個ぐらい。

菊地)それで子ども好きになったって言ってましたね。幼少期の0〜5歳は保育園行ってたんですか。

遠藤さん)幼稚園です。

菊地)その時からサッカーをやってたのですか

遠藤さん)幼稚園の頃は遊びの一環として友達とボール蹴るくらいでした。本格的に始めたのは1年生の頃。

菊地)その頃から負けず嫌いだった?

遠藤さん)負けず嫌いだったと思いますね。幼稚園で一緒にサッカーをやっていた子が幼稚園から習っていて、結構上手くて。その子と一緒にボールを蹴っていて、負けたくないじゃないけど、もっと上手くなりたいからもっと練習しようって思っていたと思います。

菊地)それってお母さんお父さんの影響が大きかったりするんですか?絶対負けてくるなとか言われたり・・?

遠藤さん)全然言われなかったですね(笑)父親も元々というかあんまり喋らない無口な父親なので、僕がやりたいことをなんでもやらせてくれました。特に何か言われた訳ではないですかね。

◆夢を叶えるための『目標』・夢を叶えるための『挑戦』
菊地)最近、見守る保育がすごく重要視されてきていて、子どもたちの「やる」って気持ちを尊重することが大事にされています。一方で、最近はすごく過保護になってる親御さんも増えている傾向があるんですよね。つまり、挑戦する前に挑戦を止められるみたいな。
挑戦を続けるためにも、一人のプレーヤーや一人の親として、航くんはどんなことを大切にしてますか?

遠藤さん)僕は常に目標設定をしているところがある。それも長い目で見て、5年後10年後どうなりたいのかと、そのために今直近1、2年後とか半年後に、何を自分は達成できるのか、何を目標に置くべきなのかとか、そこの目標設定のセンスは大事だと思うんですよ。プレーヤーとしては。高すぎても良くないと思うし、少し努力すれば実現できそうなことにしっかり目標を置けるかみたいなのはすごく大事だと思う。なんでもいいんですけど、それを自分がしっかり理解した上で、じゃあ多分今ここだろうなとか、今回だったらオリンピックでオーバーエイジとして出るとか、その次のカタールW杯で代表がベスト8にいくために、自分はそこの主力選手として出るとか、そこの目標は細かければ細かいほどいいと思うんですね。短期的なところは。長い目で見ると、チャンピオンズリーグに出たいとか、もっとビッグクラブに行きたいとか、ざっくりそういうものは置いておくとか。その辺は意識していますね。

菊地)日本代表になるっていうのは、サッカーをしている皆にとっての憧れだと思うんですが、なって終わりなのか、それともなった後も活躍を続けられる選手になるのか。それは目標設定があってからこそですね。自分がどこまで行きたいか。

遠藤さん)そう。それをどんどんアップデートできるかどうかだと思います。

菊地)今日本代表の中心選手になって目標設定って変わりました?

遠藤さん)めちゃくちゃ変わりますね。元々はずっと日本代表になりたいっていうのが夢だったわけじゃないですか。日本代表になる夢だったのが達成して、今度はさらに目標が変わる。今度その先の夢はなんなんだろうっていう、そのアップデートを考えています。
これはすごく大事だと思う。

菊地)今、最終的にはどこまでいきたいという目標設定はあるんですか?

遠藤さん)サッカー選手としてはチャンピオンズリーグ優勝か、日本がW杯優勝するかですかね。

菊地)すごい。選手としての夢があって挑戦をし続けているのですね。
航くんの子どもたち4人の、一人一人の目標設定とか、こういう風に育って欲しいとかあるんですか。

遠藤さん)そこまで考えてないかな、基本的には本当にやりたいことをやってくれればいいと思っているので僕も親父からあんまり何も言われずに育って、ある意味そこで主体性が育まれたと思っています。自分でなんでも考えて、判断して、それを実行するみたいな自立した子どもになって欲しいかな。僕もやりたいって言ったらどんどんやらせてあげるし、それを見守るスタンスでいます。

◆ご夫婦のルール・挑戦をする子どもへの親のサポート
菊地)挑戦してきた航くんにとって、子どもたちの挑戦に対してどういう風にサポートしていきますか。保護者として、子どもの挑戦をどう見守りたいなどありますか? 

遠藤さん)知識の量で言うとまだそこまでないじゃないですか。知らないものも多いので、それをいかに、いい刺激を与えられるか。例えば好きなゲームだったら、いつまでもやるのを、どれだけ大人がそこをいい具合で制限してあげるか。制限しすぎても良くないし、やらせすぎても良くないし、そこのバランスと設定は結構考えていると思います。

菊地)そこってやはり、子育てもチームプレーなところもあるんですね。奥さんがいて、そこのコンセンサス、どういう風に育ててこうがないと難しいですよね。奥さんと話し合ったりするんですか

遠藤さん)あんまりないです(笑)

菊地)ないんですね。フィーリングで?奥さんを尊重しながら見守るのか、それとも航くんや奥さんがそこに合わせてるのか。

遠藤さん)お互い二人で怒らないようにしようみたいなのはあります。奥さんが怒っていたら、僕はちょっとサポートしてあげるようにしているかな。子ども対親のように二人で言うのはよくないみたいなのは一応ルールとしてあるのかもしれないです。

菊地)なるほど。最初に取り決めするんですか?

遠藤さん)いや全然しなかったです。自然にそうなっていきました。あとはあんまり怒りすぎないようにはしていましたね。

菊地)なるほど!
いろんな経験が壁を乗り越えるか、子どもたちが「やってみたい」と思う壁をどう乗り越えるか、挫折してしまう子、諦めずに乗り越える子、いろんな子がいる中で、航君はどんなことが必要だと思うか聞かせてください。

遠藤さん)僕自身壁にぶち当たった経験がないというか、壁を壁と思っていないことがあるかな。

菊地)それって先天的なのか、後天的に身についたのか・・さっき負けん気が強かったという話も出たので自分はできると思っているのか・・

遠藤さん)感覚的に自分ができると思っていたかもしれないです。自分よりサッカーが上手い子がいて、その子に追いつくのはどうしたらいいかと考えるタイプ。それが壁なのかもしれないけど、そんなことを考えていたかな。あとは成功体験を小さくてもいいから積み上げられるか、それを壁にして乗り越えてみる。どんなことでもやってみてちょっとした大人の手助けで成功に導いてあげるのも大事。その辺は子育てしている中でも意識しているかなと思います。

菊地)僕も最初はいじめられっ子で内気だったんですけど、中高あがっていったときに、自分の小さな成功が自信になってきて、そこから主体性が身についてきたという経験があったかな。
子どもの気質、性格をみながら成功体験の積み重ねで自信をつけて将来が広がるのかなと思う。エデュリーでもそういった子どもたちの気質や特性を可視化しながら、保育を実施したりしている。最終的にスポーツ選手でも政治家でも最終的に自分がなりたい自分になってほしい。

遠藤さん)それはいいね、本当にそうだね。

〈後編へ続く〉